自己資本比率
企業の中長期的な健全性を表す指標の1つです。自己資本÷総資本×100(%)で算出できますが、わざわざ算出しなくても、有価証券報告書や決算短信などに値が載っていることが多いです。
【計算式】
自己資本÷総資本×100(%)
下の画像は日立製作所の有価証券報告書1ページ。
有価証券報告書の場合、「企業の概況」ページに自己資本比率が記載されています。
日立製作所は国際会計基準を導入している企業なので、「自己資本比率」ではなく「親会社株主持分比率」と書かれていますが、意味は同じです。※1
※.日立製作所の2019年3月期有価証券報告書から抜粋。
自己資本比率とは、企業の総資本(資本の総額)のうち自己資本が何%を占めるかを表した指標です。
自己資本とは、“企業が返済しなくてもいいお金”のことで、例えば株主からの出資金、利益剰余金(企業が稼いだ利益の蓄積)などです。
これらのお金は返済する必要が無いので、企業の“自己”資本であると、そう言いたいわけです。
一方で、銀行などから借りたお金は自己資本に含まれません。これは返済する必要があるからですね。
つまり自己資本比率は、企業の総資本のうち返済する必要の無いお金がどれだけあるかを表した指標であり、この値が高いということは、それだけ借金などの比率が低いということ。ですから、自己資本比率が高ければ健全性も高い、と言われます。 ※2
自己資本比率を見る上での注意点は3つあります。
注意点①
【1年分の数値で判断しない】
他の指標と同様に、自己資本比率の値は年によって大きく変動する可能性があります。
ですから、1年だけならたまたま極端に高い・低い数値になることもあり得ます。
必ず、数年分の推移を確認しましょう。
注意点②
【自己資本比率が高いから健全性が高いと断言はできない】
例えば、現在自己資本比率が高くても、資産のうち現金・預金など換金性の高い資産が少なかったら、何か急に資金が必要となった際に借入を行うかもしれません。新たに借金をしたら、当然自己資本比率は低下します。
自己資本比率はあくまで“現在の比率”であって、今後負債を抱える可能性までは分からないという点にご留意ください。
注意点③
【基本的には、同じ業界の企業と比較する】
自己資本比率も、他の指標同様に、業界によって基準が異なります。
下のグラフをご覧ください。
自動車大手のトヨタ自動車と、銀行大手の三菱UFJ銀行の自己資本比率を比較したグラフです。
トヨタ自動車に比べると三菱UFJ銀行の自己資本比率は著しく低く見えますが、これは銀行の業態によるものであって、一般企業と単純比較はできません。
このようなケースもあるため、自己資本比率を見る際は、同業他社同士で比較しましょう。
※1.本サイトに掲載されている自己資本比率の値は、国際会計基準企業ならば「親会社株主持分比率」の値、米国会計基準企業ならば「株主資本比率」の値を採用しています。正確に言えば自己資本と株主資本は同じではないのですが、値が大きく変わることも多くないので、本サイトでは「自己資本比率」として掲載しています。ちなみに、ヤフーファイナンスなどのサイトでも同様です。
※2.本サイトには企業単体の自己資本比率と連結の自己資本比率を載せていますが、基本的には連結の値を確認すればいいと思います。気になる人は単体の値も確認すればいいという程度です。