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化学メーカーの分類と代表企業

化学メーカーは生産している製品が多様であることから、明確に分類することはできません。本コラムでは主要な製品から便宜的に①総合化学メーカー、②誘導品/製品材料メーカー、③電子材料メーカー、④その他4つに分類し、その特徴と代表企業を紹介していきます。

1.総合化学メーカー

総合化学メーカーとは、基礎原料(石油化学誘導品のもとになる原料。主にエチレンなど)からに中間製品(プラスチック・合成繊維・合成ゴムなど)を作り、さらに中間製品から最終の製品を生み出す一貫生産を行う企業のことを指します。過去は主な基礎原料であるエチレンを製造販売しているメーカーを指しましたが、現在はその定義は曖昧で、広く定義されています。

総合化学メーカーの主な強みは以下の通りです。

  • 上流から下流まで一貫して生産しているため、製品のコスト競争力がある。
  • 基礎化学品にはじまり高機能化学品、医薬・製薬まで多様な製品群を手掛けているため安定性がある。
  • 基礎原料からはじめる基礎技術や特許の蓄積しており、これを応用して中国等の新興化学メーカーが真似できない新たな高機能化学品を生み出せる。

自社で安く原料を使って、安く製品を作れること、さらに多様な製品を手掛けており、ある分野・製品が売れなくなっても、他の分野・製品でカバーしやすいことが特徴です。

一方で下記のような弱みもあります。

  • 基礎化学品は汎用品であり、品質で差別化できない。
  • 輸入品との価格競争により利益率が低い。
  • 上流から下流まで一貫して生産しているため、儲からない基礎化学品も止められない。(ある製品の製造をやめると、別の製品が作れなくなるなど。)
  • 原油高や為替円高など外部要因の影響を大きく受ける。

基礎化学品は製品の上流であることから、品質で差別化することができません。そのため巨大な工場を持ってさらに安価に製造できる海外メーカーとの価格競争に巻き込まれ、利益率が比較的低いことが多いです。また基礎化学品の主な原料は石油ですが、日本の化学メーカーは石油のほとんどすべてを海外からの輸入に頼っています。そのため原油価格や為替の影響を大きく受けてしまいます。このように日本の化学メーカーは基礎化学品という汎用品でグローバルに戦うことが難しくなってきており、基礎技術を生かした高機能製品が売上・利益の源泉になっています。

各企業利益率

注:2019年度実績、国際会計基準(IFRS)を適用している企業は経常利益ではなく税引前利益を記載

出所:有価証券報告書など開示資料より作成、以下同じ

2.誘導品/製品材料メーカー

誘導品メーカーとは、化学製品のいわゆる川中部分の製品を製造・販売する企業です。 誘導品とは、基礎原料から作られる最終製品に必要な部品や素材を指します。製品材料メーカーはこの誘導品を用いて特殊な機能を持った素材や部品を作って、最終製品メーカーに販売しています。自動車の部品に使われる特殊なプラスチックやタイヤのゴム、リチウムイオン電池を作るための材料のほとんどは化学メーカーが作っています。生産する製品が直接消費者の手に渡るわけではありませんが、最終製品の性能を左右する、私たちの生活を陰から支えている企業です。

誘導品/製品材料メーカーの強みは以下の通りです。

  • 安価な原料から高付加価値製品を製造することで、利益率の高いビジネスを行う。
  • 簡単に製造技術を真似できないことから国際競争力がある。
  • 新しい技術は特許に守られているため新興国企業にコピーされにくい。

各社独自の技術で付加価値の高い製品を製造することで、他社との価格競争に巻き込まれず高い利益率である会社が多いです。高度な技術が故に、市場での住み分けができているとも言えます。ニッチな市場で強みを持っている企業も多く、それぞれの得意分野でグローバルにビジネスを展開しています。

では弱み・課題も見てみましょう。

  • 今は高付加価値でも、将来にわたって技術が陳腐化する恐れがある。
  • 高付加価値製品の開発には長期にわたって多額の研究費が必要である。
  • 化学メーカーは世界中に存在し、今後は海外化学メーカーの動向にも注意する必要がある。

今は高利益率でも将来、他の企業の技術に追いつき・追い越されたり、また他の製品に代替されてしまう可能性がないわけではありません。新たな技術の開発はもちろん、高利益率維持するためには長期間にわたる研究開発が必要です。近年では海外の化学メーカーの研究開発も進んでおり、日本の化学メーカーの技術力も安泰とは言えません。そのためには今の地位に甘んずることなく、将来に向けた研究開発投資を継続する姿勢・企業の安定的な基盤が必要です。

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3.電子材料メーカー

電子機器メーカーとは、基礎原料や誘導品などから半導体、ディスプレイといった電子部品の生産を行うメーカーです。皆さんが今このコラムを読むために使っているスマートフォンやパソコンの部品を作っています。

強みと弱みは基本的に誘導品メーカーと同じです。独自の技術を生かし高利益率で安定的な経営を実現しています。ただしスマートフォンやパソコンという最終製品に近い製品を扱っていることから、誘導品/製品材料メーカーよりも景気や流行りの影響を受けやすいという特徴があります。例えば新型iPhoneや5G対応スマートフォンが発表され多くの消費者が購入する場面では、当然その部品を製造している電子材料メーカーの売上も伸びていきます。一方でスマートフォンの機能に真新しさがない場合には消費者は買い控え、電子材料メーカーの売上も伸び悩みます。

最近では新型コロナウイルス感染症拡大の影響で各企業が在宅勤務を導入したことから、在宅勤務をするために自宅のパソコン等を買い替え動きがあり、売上が増加した企業が多くありました。

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4.一般消費財メーカー

日用品や化粧品などの一般消費財や、農薬や肥料、医薬品などの最終製品を製造している企業も化学メーカーです。

化粧品や日用品はいままで紹介してきたBtoBのビジネスではなく、BtoCビジネスです。花王、ライオン、ユニ・チャームなど皆さんにも馴染みのある企業も多くあります。最終製品を扱っていることから製品の差別化に加え、消費者の好みや流行りに合わせたマーケティングが重要になってきます。

また医薬品は化学メーカーの中でも非常に特殊な製品群です。先に化学メーカーは売上の5%以上を研究費に投じていると述べましたが、医薬品は1兆4千億円と売上に占める割合は10%を超えています。また1つのくすりを開発する期間は、9~17年ともいわれ、研究対象となったほとんどの候補物質は、途中で開発が断念されます。このように研究開発に必要な資金・時間と難易度は群を抜いており、一方開発に成功すれば技術は特許に守られながら、高利益率なビジネスを行うことができます。

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おわりに

ここまで化学業界の特徴について、業界全体および製品の分類ごとに見てきました。馴染みのない業界ですが、私たちの生活を陰から支えている、なくてはならない企業群であるとお分かりいただけたと思います。高い技術力を背景とした高利益率・安定的な経営を行っていることも特徴です。派手さはありませんが、モノづくりになくてはならない化学メーカーに興味をもったら、ぜひ会社説明会に参加し、エントリーしてみてください。

次回のコラムでは、企業分析やエントリーシートを書くにあたってもポイントなど、より就職活動に近い内容をお届けしたいと思っております。

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